子供の事情

前の記事を落としたのはこのためだ…!

 

三谷幸喜さん脚本

子供の事情

を観てきました。

本当にいい舞台だったと思ったので、

これは私の備忘録です。

 

ここからはネタバレを含みます

 

 

 

 

 

 

 

時は遡ること1971年。

楠小学校4年3組の放課後。

他の子は習い事で忙しい中、

ダラダラ放課後教室に残る

通称「スーパー8」の日常から物語は始まります。

 

毎日のように放課後勉強するけど、成績は良くならない ホリさん(吉田羊さん)

人の話ばかりを繰り返す リピート(浅野和之さん)

恐竜が大好きでいつも自分の世界 ドテ(小手伸也さん)

みんなから信頼される アニキ(天海祐希さん)

子役で活躍し、放課後勉強をしにきている、学校の有名人 ヒメ(伊藤蘭さん)

この物語の語り部 そして 子供の頃の三谷幸喜さん役(突然びっくりした 笑) で、人間観察が上手な傍観者 ホジョリン(林遣都さん)

学級委員長で口うるさい ソウリ(青木さやかさん)

 

そこに、悪い事ばかり考える、いわゆるクラスのボス ゴータマ(小池栄子さん)とボスのブレーンじぞう(春海四方さん)がいます。

 

始まりは一人一人のキャラをはっきりと言動で見せていきます。

ゴータマとじぞうはまた悪巧みを考えている様子だし。

ソウリからの「5年生の理科で使うおたまじゃくしがいなくなったんだって。ゴータマ知らない?」という疑いも

「なんで良くないことが起きるといつも私を疑うのよ」とかわすゴータマ。

ま、大きい缶の中におたまじゃくし全部隠してて、5年の教室に置いてびっくりさせるっていうくだらないこと考えてたのはゴータマなんですけどね 笑

 

ほんと、この最初の描写から見事!

「あーいるいる、こんな子」ってなる。

いわゆるガキ大将でクラスを引っ掻き回すゴータマも、ゴータマの足りないところを悪知恵で埋めるじぞうも、正義振りかざして先生にいい顔するソウリも。

 

ドテがソウリに何回注意されても蛇口に思いっきり口つけて飲んじゃう件も笑った。

この件を1番嫌がっているけど自分から言えないからソウリにいってもらうホリさん。強い権力に頼るあたり。争いをまあまあ、とうまく抑えるアニキになんとか仲裁しようとコップを貸すホジョリン。でも結局ドテは口つけて飲む 笑 ドテにはなんの悪気もないんだよね。だけど周りの空気とか気にしないからやっちゃうし嫌がられる。なんともグレーなドテをいじめないスーパー8が優しいと思えるくらい。

それから文房具屋さんが来て、いろいろ描けるオプション付きの定規を買う件。リピートはゴータマとじぞうに見事にパシられ定規を買ってきて、その定規で遊ぶんだけど、すぐ飽きる 笑 ゴータマは「いる人〜」と言って欲しがったホリさんにあげるかと思ったら、金を取る 笑 しかも「だって並んで苦労して買ったんだからさ〜」って、買ったのはリピートだよ 笑 で、ホリさんは定規でめっちゃ遊ぶ 笑

 

ほんと、登場人物全員のキャラがはっきり見えるので、いろいろ想像膨らむよね。

でも、人は普段の印象だけじゃなくて、子供ながらにいろいろ背負ってるんだなってだんだん見えてくるのもこの舞台の面白いところ。

 

さて、話を戻すと(遠回りしすぎ)

そこに突然、転校生のジョー(大泉洋さん)がやってきます。めっちゃ渋いおじさん感出してて、こいつ、本当に10歳か?!みたいなやつです。(時々こういう笑い入れてた 笑 でも僕たちは10歳の子供!みたいな 笑)このジョーが日常をかき乱していきます。転校生問題児パターン。

 

蛇口の件も、アニキは「悪気はないだろうけど、口付けないで飲む努力しよう」みたいなことを言うんだよ。正統派な仲裁意見。でもジョーは「ドテの気持ちがよく分かる。だって蛇口が上向いてたら口付けたくもなるよね。だから蛇口を下向きに固定しちゃおう!」って。奇抜なことを言ってきます。

更に、みんなのキャラや立ち位置を見透かしている。ジョーはまず、みんなから信頼の厚いアニキのポジションを狙います。

実はこのアニキというキャラ、みんなから頼りにされるけど、勉強は真ん中、運動もそこそこ、普通キャラなんです。だからこそ、頼りにされるポジションを見つけ、それを大事にしている。

だから、ジョーにポジションを奪われるのは、アニキにとって死活問題なんだよね。なんて狭い世界。劇中でも、ヒメが「そんな狭い世界で争ってなんになるの。私はもっと広い世界(芸能界)で大人と戦ってるわ。捨てられないように。」と話します。

で、このポジションの奪い合いは結論から言うとジョー勝利します。

 

ことの始まりは揚げパン事件。

ソウリが勘づきつつも、上手く隠れて、ゴータマとじぞうがまた悪巧みを考えています。なんと、給食の揚げパンを強奪しようと言うのです。しかも用意周到。給食から揚げパンが無くなったら誰かが気付く問題は、揚げパンときつねうどんが重なり、主食が無くなっても分からない日に。誰かが献立表を見る問題は、じぞうがクラスの献立表を剥がし済。足りなくてお腹が空く問題は1番残食の多い5-1だから大丈夫と(5年生どんだけ舐められてんだよ 笑)。

この悪巧みに、ジョーはアニキを誘います。当然正統派真面目なアニキは断りますが、「アニキって頼れるだけじゃなくて、どっか悪なところもあった方がいいぜ」と言葉巧みに乗せます。おかしいじゃないですか。アニキのポジションを奪おうとしているジョーがアニキを成長させようなんて話。全てジョーの計算です。

アニキの性格を知るゴータマは、計画に入れることを当然嫌がりますが、ゴータマみたいなボスキャラには力の差を見せるのが1番効果的だとジョーは知っています。ゴータマがクラス1得意としていたトランプのスピードで見事勝利し、ボスポジションあっさりゲット 笑

アニキが入るからと芋づる式にホリさんやリピートも計画に加わります。

ところがそこにやってくるソウリ。みんなは発表会の演奏の練習のフリで誤魔化しますが、やはり悪になれないアニキは、じぞうが奪ってきた献立表をさり気なくソウリの前に落とします。

ソウリに追求され、みんな黙るのですが、アニキは計画を全てバラしてしまう。アニキの信頼は地に堕ちます。

この後のアニキのハブられっぷりが本当にかわいそう。アニキが何言っても何やっても無視。ボスポジもアニキポジも奪ったので、ジョーは突如スクールカーストトップに躍り出ます。

 

この辺で一旦休憩。